チェコでの起業やフリーランスにはŽivnostenský listが必須です。
取得条件については別記事で解説したとおりですが、ではŽivnoはどうすれば取得できるのでしょうか?
今回の記事では、個人事業主としてのŽivnostenský listの取得方法を解説しています。
チェコにて会社設立をする場合はまた別の手続きや書類が必要となります。
それらについては専門的な知識や情報が必要になるため、この記事では解説していませんのでご了承ください。
Živnostenský listの申請に必要なもの
個人事業主としてŽivnostenský listに登録する際に必要な書類は以下のとおりです。
住所を証明できるものとしては、滞在許可の生体認証カードに印刷された住所、もしくは外国人警察や内務省で住所登録をした際、パスポートに専用のスタンプで記入された住所が利用できます。
ビジネスアドレスの証明ですが、基本的には滞在先のオーナーからビジネスの許可を得るのがベストです。
この住所は、きちんと郵便物を受け取ることができるのであれば、必ずしも実際に使用している住所でなくてもかまいません。
そのため、バーチャルオフィスの住所を利用したり、家族や知人で物件を所有していて、郵便物が届いても構わないという人がいる場合は、その物件の住所を使わせてもらうことも可能です。
注意点としては、各種書類がこのビジネスアドレスに郵便で届けられるため、かならず郵便受けに名前を載せてもうようにしましょう。
Živnostenský listの手続きができるのはどのお役所?
Živnoの登録自体には住居や職場の住所の縛りはないため、チェコ国内のŽivnostenský úřad(Živnostenský 事務所)であればどこであっても登録が可能です。
ただし手続きを行ってから実際に登録が完了するまで数日かかり、後日書類を受け取りにいかなければならないため、できるだけ行きやすい場所にある事務所を選ぶ方がいいでしょう。
≫Živnostenský úřadの事務所の詳細は、以下の情報サイト(チェコ語)にてご確認ください。
Živno登録の際の注意点としては、次の3点があげられます。
- Živno事務所は基本的に月曜日と水曜日のみ対応
- 基本的にチェコ語での対応
※一部の事務所は英語対応可のようですが、予約時に英語対応依頼を出す必要があります。 - Živnoの手続き後、登録が完了するまでには3~5営業日かかる
Živnostenský list登録の流れ
- 1. Živno事務所の会計コーナーにて申請料を支払う
- 2. Živno事務所にて手続きを行う
- 3. 指定された日にŽivno事務所に再訪し、登録書類を受け取る
- 4. 公共健康保険、社会保障局、税務局でそれぞれ手続きを行う
それでは各項目についてもう少し詳しく見ていきましょう。
1. 申請料を支払う
Živno事務所が入っている地域事務所の会計にて申請料(1,000 CZK)を支払います。
現金だけでなくカードでも支払い可能です。
支払い証明は手続きの際に提出するので、必ず受け取ってください。
2. Živno事務所にて手続きを行う
Živno事務所にて担当者に必要書類を提出し、必要事項を伝えます。
必要事項はすべて担当者がその場で入力してくれるため、事前に書類を記入したり準備しておく必要はありません。
すでにチェコ企業から仕事を請け負うことが決まっている場合は、その企業の正式名称と識別番号(Identifikační číslo osoby、IČO)を事前にメモしておくと、手続きがスムーズに進みます。
また、どの業種に登録するのかは、手続きまでに決めておく必要があります。
Živnostenský listの登録業種一覧
- 資格等が不要な一般的な業種(Google翻訳)
語学教師、翻訳・通訳、ツアーガイド、IT関連を含む一般業種 - ガイドラインがある技術職(Google翻訳)
時計技師、ガラス職人、マッサージ師、理髪師・美容師等などを含む技術職 - 資格等が必要な専門職(Google翻訳)
教習所の教官、金融関係、医療関係、生物取り扱い、山や水辺での活動などを含む専門職 - 要ライセンスの特殊職(Google翻訳)
酒類・危険物取扱い、輸送関連などを含む特殊な業種
※リンク先はチェコ語サイト、Google翻訳はチェコ語→日本語です
1度で登録する業種の数に制限はありませんし、また登録していない業種の仕事を請けることは禁止されているため、将来的に引き受ける可能性のある業種はひと通り登録しておくといいでしょう。
もちろん必要に応じて業種を追加することもできますが、変更手続の申請料として500 CZKかかります。
将来的な手続きの手間暇やコストも考慮した上で、登録する業種を決定してください。
また、当然のことですが、ガイドラインや資格、ライセンスが必要な業種に登録する場合は、事前にどのような書類や手続きが必要になるのかを確認し、準備しておきましょう。
3. 指定された日にŽivno事務所に再訪し、登録書類を受け取る
登録項目の入力や確認が完了したら、登録手続き完了日が知らされます。
その日付以降にŽivno事務所を再訪してVýpis z živnostenského rejstříku(貿易登記簿の抜粋)を受け取ることで、チェコ国内で正式にインボイスが発行できるようになります。
この抜粋には個人情報や登録した業種一覧とあわせて個人識別番号(Identifikační číslo osoby、IČO)が記載されているため、きちんと保管しておきましょう。
4. 公共健康保険事務所、社会保障局、税務局でそれぞれ手続きを行う
登記簿の抜粋を受け取った後は、社会保障局と税務局、そして必要であれば公共健康保険事務所にて登録・変更手続きを行います。
これらの手続きについては、希望すればŽivno事務所での登録時にあわせて完了することも可能です。
ただ、各事務所を回らなくていいのは便利ですが、手続きが完了するまでに少々時間がかかるというデメリットも。
特に社会保障保険については手続き完了までに2か月近くのタイムラグがあるのに対し、社会保障保険料の支払いはŽivnoが有効になった月から発生するため、のんびり待っていると数か月分の未払いが発生します。
実はビジネス目的での滞在許可更新は各種保険で未払いや滞納がないことが条件にあるので、Živnoの登録が完了次第、できるだけ間を置かず手続きを進めることをおすすめします。
おわりに
制限のある業種に登録するのでもない限り、Živnostenský listの取得自体はそう難しいものではありません。
とはいえ、ビジネスアドレスの証明やチェコ語での手続きは、やはりそれなりに煩雑です。
自分自身での対応が難しそうだと思う場合は、Živnoを取得しているチェコ人やŽivno取得サポートエージェントに同伴・手続き代理を依頼すると、安心して進められますよ。
ヒサノアスカ
アメリカ語学留学、オーストラリア&カナダワーホリ、デンマーク留学ののち、チェコ語学留学から現地採用を経て、5年以上の継続滞在によりチェコ永住権を自力で取得。
現在はプラハでフリーランスとして活動する傍ら、海外移住・旅行情報発信ブログa-h.workおよび当チェコポータルを運営中。