プラハの公共交通機関では、6歳までの乳幼児と6歳~15歳までの子ども、60歳以上のシニアに対して、それぞれ割引料金が適用されます。
そもそもの乗車運賃がとてもリーズナブルなため、あまり気にせず通常料金を払っている方もいるかもしれませんが、割引料金でメトロやバス、トラムなどが利用できるなら、ぜひ割引料金を活用したいですよね。
割引料金の適用は、基本的にはパスポートの提示でOKなのですが、実はSリンクと呼ばれるPID電車を使用する際は、割引料金を適用するにはこのPID証明書が必須となります。
また、検札が行われるのは移動中の車内や人が多く行き来するプラットフォームです。こんな環境でパスポートを出すことに抵抗を覚える方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回の記事では、プラハの地下鉄・トラム・バスの割引運賃の詳細と適用条件、また小児・シニア割引で使える小児・シニアPID証明書の取得方法を解説します。
割引料金とその適用条件
有効期間 | 学生・大人 15~59歳 | 乳幼児 0~5歳 | 小児 6~14歳 | シニア 60~64歳 | 高齢者 65歳~ |
---|---|---|---|---|---|
30分 | 30 CZK | 0 CZK | 15 CZK | 15 CZK | 0 CZK |
90分 | 40 CZK | 0 CZK | 20 CZK | 20 CZK | 0 CZK |
24時間 | 120 CZK | 0 CZK | 60 CZK | 60 CZK | 0 CZK |
72時間 | 330 CZK | 0 CZK | – | – | 0 CZK |
プラハの交通機関運賃は、上の表のように大人料金(15歳~65歳)、小児料金(6歳~15歳)、シニア料金(60歳~69歳)と乳幼児(~5歳)および高齢者(70歳~)料金の5種類に分かれています。
子供料金とシニア料金は大人料金の半額、乳幼児および後期高齢者は無料というように、年齢によって割引料金が適用できますが、実際に割引料金を利用するには、以下の条件に合わせて年齢を証明しなければなりません。
年齢 | 乗車券割引料金の適用条件 |
---|---|
0~5歳 | 年齢がわかる公的書類(パスポートなど)の提示で無料。 ※同行する子供が3歳未満の場合、子どもの年齢を証明することで同行者の交通費を無料にできます。 |
6~9歳 | 年齢がわかる公的書類(パスポートなど)の提示で無料、提示できない場合は半額。 |
10~14歳 | 公的書類(学生証など)の提示で半額、提示できない場合は大人料金。 |
15~26歳 | 定期購入時のみ学生割引適用。 |
60~64歳 | 年齢がわかる公的書類(パスポートなど)の提示で半額。提示できない場合は大人料金。 |
65~69歳 | 年齢がわかる公的書類(パスポートなど)の提示で無料。 |
当然ですが、割引料金を利用して地下鉄やトラム、バスに乗車するには年齢の証明が必要です。
基本的にはパスポートの提示でOKですが、混雑した車内や多くの人が行きかうプラットフォームの入り口付近でパスポートを出したくない、と思われるのであれば、このPID証明書を入手するのも一手です。
≫ プラハのメトロ/トラム/バスのチケットの種類と購入方法については以下の記事をご確認ください。
PID証明書の種類
PID証明書には以下の4種類存在します。
PID Dítě | 6~14歳の児童が対象。交通機関の乗車券が無料になる。 |
PID Junior | 15~18歳の学生が対象。定期に学生割引が適用される。 |
PID Student | 18~26歳の学生が対象。定期に学生割引が適用される。 |
PID Senior | 60-65:60~65歳の成人が対象。交通機関の乗車券が半額、定期にシニア割引が適用される。 65+:70歳以上の成人が対象。70歳以上の場合、PID圏内の電車の乗車券が無料になる。 |
PID Studentにおける学生の定義は以下のとおりです。
ただし正規の学生であっても27歳以上であれば、学生割引の対象にはなりませんのでご注意ください。
PID証明書の取得方法は?
PID証明書は紙の証明書とPID Lítačkaへの登録の2種類あります。
基本的にプラハへの滞在が数日から数か月までの短・中期であれば紙の証明書が、数か月から年単位の長期滞在であれば、定期券購入のためにもPID Lítačkaへの登録がおすすめです。
ちなみに、紙の証明書であってもPID Lítačkaであっても、年齢確認のためにセールスポイントやコンタクトセンターに足を運ぶ必要があります。
紙のPID証明書の取得方法
紙のPID証明書の発行には、パスポートとパスポートサイズの証明写真(35mm×45mm、1年以内に撮影したもの)が必要です。
これらを持ってプラハ空港やプラハ中央駅などにあるプラハ市交通局のInfo CenterにてPID証明書の発行希望を伝えて60 CZKの手数料を支払うと、その場でPID証明書が発行されます。
到着時刻がInfo Centerの営業時間内で、かつ時間的な余裕があるのであれば、到着した空港や駅で作成することをおすすめします。
PID Lítačkaの取得方法
PID LítačkaにはオンラインやDPP/PIDのInfo Centerで登録可能です。
証明書として使用できるのはLítačkaカード、 Lítačkaアプリ、非接触式クレジットカード(VISA・マスターカード)、チェコ国鉄のIn Karta、ISIC(国際学生証)です。
Lítačkaアプリを使用する場合でも登録の際に割引対象であることを証明する必要がある(パスポートの提示、必要書類の提出など)ため、必ず1度はコンタクトセンターに行く必要があります。
クレジットカードを証明書として使用する場合、Apple PayやGoogle Payのようなスマートフォンでの認証はできませんので、必ず実際のカードを持ち歩くようにしましょう。
PID証明書が入手できる場所は?
プラハ市交通局のInfo Centerやセールスポイントで入手可能です。
Info Centerの主な所在地は以下のとおりです。
- プラハ空港(ターミナル1、ターミナル2)
ターミナル1:入国ゲートの右手側に階段があり、その隣の通路を少し進んだ先にプラハ市交通局のInfo Centerブースがあります。
ターミナル2:入国ゲートから左手側に進むとVodafoneのブースがあり、その少し先にプラハ市交通局のInfo Centerブースがあります。 - プラハ中央駅(メトロC線 地下鉄入り口付近に2か所)
- Prague City Hall(1階)
- Můstek駅(メトロA/B線 28. října Street出入口付近)
- Andě駅(メトロB線 Nove Smichovショッピングセンター側改札付近)
- Hradčanská駅(メトロA線)
- Nádraží Veleslavín(メトロA線)
≫ 各Info Centerおよび他のセールスポイントについては、公式サイトをご確認ください。
まとめ
プラハ市の公共交通機関について、チケットの買い方や料金が紹介されているサイトはたくさんありますが、以前は割引料金について詳しい説明はあまり見かけませんでした。
最近は年齢確認がパスポートでOKになったり、また購入についてもタッチパネル式の自動券売機が増えてきているため、割引料金の利用が簡単になりました。
ですが、基本的にパスポートで年齢確認ができるとはいえ、人ごみの中でパスポートを知らない人に渡すことに抵抗を覚える人も少なからずいることでしょう。
プラハは安全な街ですが、観光客目当てのスリが多い場所でもあります。
ご自身の安心・安全を守るためにも、PID証明書の利用をぜひご一考ください。
ヒサノアスカ
アメリカ語学留学、オーストラリア&カナダワーホリ、デンマーク留学ののち、チェコ語学留学から現地採用を経て、5年以上の継続滞在によりチェコ永住権を自力で取得。
現在はプラハでフリーランスとして活動する傍ら、海外移住・旅行情報発信ブログa-h.workおよび当チェコポータルを運営中。