チェコ政府が、コロナウイルスの感染拡大防止のための緊急事態宣言を発令しました。
この宣言は、2020年3月12日14時より2020年5月17日まで有効です。(当初の30日間、延長された4月30日までから再延長されました)
3月初頭には小中高の学校閉鎖や100人以上が参加する各種イベントの禁止令等が発令されましたが、この宣言によりより出入国や外出に制限が設けられるなど、より大きな影響が出ています。
在留届を提出している方には在チェコ日本大使館からもメールにて詳細情報が届いているかと思いますが、制限の内容や範囲が頻繁に変わっているため、最新の状況が把握しづらくもあります。
この記事では、チェコ政府サイトで発表されている最新情報を日本語でまとめています。
≫ チェコ政府サイトによる公式発表(チェコ語)は以下のサイトをご確認ください。
チェコ国内における外出の制限(4月24日~)
チェコ政府は、4月24日をもって不要不急での外出禁止令がを撤廃しました。
ただし、以下の制限は継続されています。
- 公共の場で集まっていいのは最大10名まで
- 他の人とはなるべく2m以上距離を空ける
マスク等の着用義務
2020年3月31日より、自宅以外の場所では必ず呼吸器(鼻、口)を保護するものを着用することが義務づけられています。
「呼吸器を保護するもの」は、マスク類以外にもスカーフやマフラーなど、くしゃみ時や会話時に唾液の飛散を防げるものであればどんなものでもかまいません。
ただしこの呼吸器保護具着用義務ですが、以下の場合は例外として適用されません。
- 2歳以下の子供
- 幼稚園等にいる2歳~7歳の子供
- 密閉された車等で一人で移動する場合
- 公共交通機関車両で、乗客のいない密閉された運転席に一人でいる運転手
- 深刻な精神障害によりマスク着用が難しい場合
- テレビのアナウンサーやラジオのパーソナリティがスタジオ内に一人でいる場合
- 舞台上でのパフォーマンス中、もしくは撮影中の俳優やダンサー
ちなみにこの外出時のマスク等の着用義務についてですが、自宅から1歩外に出た瞬間から自宅に戻るまで常に鼻と口を覆っていなければなりません。
つまり路上での飲食や喫煙なども基本的に禁止です。
外出時に路上でたばこを吸っている人や買い食いをしている人を見かけることがありますが、すぐに食べなければならないもの(アイスクリームなど)や必要な水分補給以外はNGですのでご注意ください。
屋外でのスポーツに関する規制緩和(4月24日~)
屋外での運動について、以下のルールに従う限り、制限が緩和されています。
- マスク類の着用義務あり
※競技者どうしの間に物理的な仕切りがあったり、お互いから2m以上離れている場合は例外 - 家族や同居人以外と運動する場合、お互いから2m以上離れて運動するか、一緒に運動する場合の人数上限を10名とする
- トイレ以外の屋内施設(ロッカーやシャワーなどの共有施設)は、厳重な衛生管理ができない場合は使用禁止
また、4月20日以降、プロのスポーツ選手の練習および練習に参加するための外出は、以下の条件のもと認められています。
- 屋外でのトレーニングは、観客なしで可能
- 参加人数は1度に8人まで、また必須メンバーに限る
- 選手と他の人たちは、最低2m距離を置くこと
- 練習中に限り、選手はマスク等を着用しなくていい
- 接触系・武道系の練習は不可
- スポーツ施設に、手用の消毒液を設置する
- ロッカーやシャワー等を含む、トイレ以外の屋内施設の利用不可
- トレーニング後、必ず機器の殺菌をする
5月11日以降は人数制限がさらに緩和され、一度に100人まで同時にトレーニングすることが可能になります。
結婚式に関する規制緩和(4月24日~)
参加者を最小限に抑えることを条件に、結婚式の開催が認められました。
許可されている参加者は以下のとおりです。
- 新郎および新婦
- 立会人2名
- 結婚式を遂行する人(結婚を認める役人や聖職者など)
- 参列者4名
式の間、新郎新婦はマスク等の着用義務はありませんが、新郎新婦の同居人以外の参加者は、お互いから2m以上離れていること、また結婚式が終わった後は使用したものはすべて殺菌しなければなりません。
またこの規制緩和は、パートナー登録のための儀式にも適用されます。
5月11日以降は人数制限がさらに緩和され、一度に100人まで同時に参列することが可能になります。
チェコ出入国に関する制限
このページでは、チェコ政府から発表されているチェコ出入国制限をまとめています。
ただし出入国に関して、チェコ内務省が必要に応じて他の条件や法令を発表することがありますので、こまめに情報をチェックするようにしてください。
チェコへの入国に関する制限
2020年4月27日0時から非常事態宣言が解除されるまでの期間、外国人のチェコへの入国が禁止されます。
ただし、以下の条件に当てはまる場合は、例外としてチェコへの入国が許められます。
- チェコ在住の90日を超える長期滞在許可、もしくは永住権を持っている外国人
- 非常事態宣言発令以前にチェコ国外にいたチェコ国民の子供
- EU加盟国の滞在許可を持っている外国人で、チェコ経由で滞在先に戻る場合
- ※滞在国の大使館が発行したチェコを経由する目的(乗り継ぎ・帰還など)を証明する書類が必要です
- チェコ国民と結婚しているEU市民
- チェコから招聘された外国人
- 国境を越えた運輸業従事者
- 各種インフラサービス従事者
- チェコを本拠地とする外交官や国際機関に勤務する者
- 緊急事態への対応
また、2020年4月27日0時から非常事態宣言が解除されるまでの期間にチェコに入国したすべての人は、地域の衛生局に電話等でチェコへの再入国の事実を報告しなければなりません。
ただし再入国に際してコロナウイルス検査結果を提出し、またチェコの滞在期間が14日以下である場合は例外として報告義務は課せられません。
チェコからの出国に関する制限
2020年4月14日0時から非常事態宣言が解除されるまでの期間、外出禁止令の例外として定められている条件に当てはまる場合に限り、チェコからの出国が認められるようになりました。
ただし旅行など、不要不急の理由での出国は許可されません。
また、チェコからの出国が許可されても、渡航先の国において外国人受け入れに制限が設けられている可能性があります。
出国に先立って、相手国の受け入れ状況を必ず確認するようにしましょう。
国境閉鎖に関する情報
- 2020年4月24日23:59まで、ドイツおよびオーストリア国境に検問を設置
- スロバキアとポーランドの国境を閉鎖
- 国境の通過は、一部の国境通過ポイントおよびプラハのヴァーツラフ・ハヴェル空港およびクベリ空港でのみ可能
ドイツ・オーストリアの通過可能国境ポイントは、2020年3月17日以降下図のように変更されています。
小売業・各種サービス・飲食業に対する制限
2020年4月20日時点で、以下の業種を除くすべての小売業およびサービス業の営業は禁止されています。
- 食料品
- ガソリン等の車両用燃料
- 薪、灯油等の暖房燃料
- 衛生用品、化粧品類等ドラッグストア取扱品
- 医療器具、医薬品等薬局取扱品
- 小型ペットおよびペット用品
- メガネ、コンタクトレンズおよびその関連品
- 新聞、雑誌
- たばこ関連品
- ランドリー、ドライクリーニング
- カーサービス(30人以下での営業限定)、車用品販売店
- 宅配サービス
- ガーデニング用品販売
- 各種チケット販売
- 公共健康保険の対象となるスパ運営
- 葬儀に関するサービス、お墓の管理等
- 花屋
- 土木・建設関連業
- 布等の手芸用品および小間物販売
- 電化製品(コンピューター関連、オーディオ機器、家電製品、通信機など)
- 不動産仲介業
- 会計士
- 鍵屋、および家庭用品の販売・修理サービス
- 自転車の販売およびサービス
加えて、政府発表の規制緩和に伴い以下の業種および店舗の営業再開が許可されました。
4月20日~
- 実店舗を持ち、顧客との接触が不要な技術・技能職 詳細な工芸店
- ファーマーズマーケット、マーケットプレース
- バイクやトラックを含むクルマ販売店およびショールーム(新車・中古共に)
4月27日~
- 店舗面積が2500m2以下の店舗
- フィットネス・スポーツジム
- 動物園・各種庭園(屋外のみ)
- 自動車教習所
5月11日~
- ショッピングセンター内にあるすべての店舗
- 店舗面積が2500m2以上の店舗
- 美容店、理容店、マニキュア・ペディキュア店、日焼けサロン、エステ、マッサージ店(衛生基準あり)
より詳細な制限緩和情報は、以下の記事もご確認ください。
また感染拡大対策として、以下のような指示が出ています。
- 1時間ごとにショッピングカートや買い物かごのハンドルを消毒する
- 店舗の内外において、レジ前など顧客が列を作る場所には2mを示すマーキングをする
- 顧客が自分で商品を取ってレジに持っていく形式の店は、入り口に消毒液や使い捨て手袋や薄手の袋を無償で設置する
- 工場作業者が製品に触れる際には、必ず手袋を着用させる
- これらの情報を入り口前にポスター等を設置して顧客に周知する
シニア専用時間の設定
2020年3月25日から、店舗面積が500m2以上の食料品・衛生用品・コスメ等を販売する店は、午前8時から午前10時は65歳以上の方、およびZTP/Pカードを所持する50歳以上の方とその付添人のみ利用可能です。
店舗面積が500m2以下の小規模な店舗であっても、シニアおよびZTP/Pカード所持の50歳以上の方を優先しなければなりません。
その他の営業禁止対象業種・サービス
- ギャンブル施設およびカジノ
車の教習所- タクシーサービス
※食料品デリバリー目的のサービス(Uber Eatsなど)は可 - セルフのコインランドリー・ドライクリーニング
- 屋内のスポーツ施設
- ホテル・ホステル等の宿泊施設
- スポーツジム、スイミングプール、日焼けサロン、サウナなど
- 音楽・社交クラブ等の娯楽施設
- 公共の図書館・博物館・美術館など
飲食店の営業に関する制限
3月14日6:00から制限が緩和されるまで、飲食店での店内サービスが禁止されました。
また、店舗面積が5000m2を超えるショッピングモール内の飲食店も営業禁止となっています。
例外として、ウィンドウピックアップやドライブスルー、デリバリーなどの、顧客が店舗内に入らなくてもフード提供ができる場合は営業が可能です。
お店によってはUber Eatsなどを介して注文を受けているところもありますので、行きつけのお店が対応しているかどうか確認してみてください。
学校及び教育関連の制限
2020年3月13日より、各種教育機関が閉鎖され、授業や試験、イベント等もすべて禁止となっています。
対象の教育機関は以下のとおりです。
- 小中学校、高校、大学
- 芸術学校
- 語学学校
- 非公式の教育機関
また、各種試験については以下のように対策されています。
期末試験:学校再開から3週間以降に実施
- チェコ語および外国語からはライティングが除かれる
- 試験結果は学校で評価される(通常は専門機関での評価)
- 学校が6月1日まで再開されない場合、過去3回の期末試験結果をもとに評価される(追試あり)
高校入試:学校再開2週間後に通常どおり実施
※受験できるのは1回きり。ただし受験日は複数設定される可能性あり。
学校及び教育機関に対する制限緩和について
政府が発表した学校及び各種教育機関に対する制限緩和スケジュールは以下のとおりです。
- 4月20日~
- 大学
・最終学年の生徒に対する最大5名までの個別のアクティビティ(各種相談・試験など)
・個人での図書館および自習室の使用
※ただし勉強に必要な書籍の借り出しおよび返却目的に限る
- 大学
- 4月27日~
- 大学
・すべての生徒に対する最大5名までの個別アクティビティ(各種相談・試験など) - 高校、音楽学校、カレッジ
・卒業試験の準備、修了試験目的に限る - 芸術学校および公的な語学学校での個人授業
- 大学
- 5月11日~
- 高校、音楽学校、カレッジ
・最終学年の生徒に対する卒業試験の準備、修了試験目的に限る - 芸術学校および公的な語学学校での個人授業
- 高校、音楽学校、カレッジ
- 5月25日~
- 小学校
・1年生を対象とした15人以下のグループでのアクティビティ - 芸術学校および公的な語学学校での授業
- 小学校
- 6月1日以降
- 高校、音楽学校、カレッジ
・卒業試験・修了試験の実施(未定) - 高校、職業訓練学校等
・一部の技能訓練の実施
- 高校、音楽学校、カレッジ
より詳細な内容は、チェコ教育省による発表(チェコ語)をご確認ください。
交通機関の制限
2020年3月14日より、以下の交通機関運行が禁止されています。
- 9人を超える乗客が乗れる車両(バス・バン等)でのチェコ入国
- チェコと他国を繋ぐ鉄道および水路の運行
- プラハのヴァーツラフ・ハヴェル国際空港以外の航空国際線運行
ただしチェコ帰国者(チェコ国民及び非常事態宣言発令前に出国していた長期滞在外国人)再入国のためのバス・列車等の運行、および乗客のいないバスや列車の出国は許可されています。
また、すべての公共交通機関に対して、各運行ごとに車内の消毒をするよう指示が出ています。
非常事態宣言中の滞在許可等の手続きについて
各国チェコ大使館でのビザ・滞在許可申請手続き
非常事態宣言によりチェコ外務省は、各国の大使館におけるビザ手続きの新規受付および各大使館にて受領された申請の手続きを停止すると発表しました。
これにより、ビザ申請手続き中、もしくは予定されている方に対して、以下の影響が考えられます。
- 非常事態宣言期間中にビザ申請予約を取っている
⇒非常事態宣言が解除されるまで申請受付不可となるため、非常事態宣言解除後に改めて予約の取り直し等が必要になりそうです - 3月12日以前にビザ申請をしていて受理されている
⇒大使館内にある申請書類の手続き停止となるため、申請をしたタイミングによっては通常より承認までに時間がかかる可能性大です
≫ 詳細については在日チェコ大使館の該当ページをご確認ください。
チェコ国内移民局事務所(MOI)での手続きについて
非常事態宣言が発令された時点でチェコ国内に合法的に滞在している外国人は、非常事態宣言解消までの間、ビザ・滞在許可の状況に関わらず、チェコ国内への滞在は可能です。
今持っているビザや滞在許可の期限が切れたとしても、すぐに国外退去させられることにはなりません。
移民局事務所(MOI)の利用は、どうしても必要な場合を除いて極力避けるようにとの呼びかけが出ており、以下の対応が推奨されています。
- 直接提出しなくてもいい申請書類、通知等は、書留郵便かData boxを使って提出する
- 法律によって直接提出が定められている書類については、緊急事態宣言が解除されてからの対応となる
⇒提出期限は自動的に延長されています
また、地域のMOIの利用は以下の目的に限られており、かつ基本的に事前予約必須です。
- 入国登録
- 生体認証データの登録
- 滞在許可の発行
- ブリッジラベルの発行(チェコ滞在の合法性証明のため等)
予約なしでのMOI利用はブリッジラベルの発行目的に限り許可されています。
他の申請目的での予約は受け付けられず、またすでに他の目的でMOIへの訪問予約を取っていた場合も、自動的にキャンセルされていますのでご注意ください。
ただし出国を目的としたブリッジラベルの発行については、以下の条件を満たせる場合のみ月曜日から金曜日の8:00~10:00に限り対応してもらえるそうです。
- 緊急出国が必要であることが証明できる
- 非常事態宣言解除までの再入国が不可
注意事項として、1.の緊急出国が必要である証明に航空券、バス・鉄道乗車券、ホテル等の予約などは使用できないようです。
ホテルや航空券、乗車券等がキャンセルできないから、という理由でのブリッジラベル発行は不可ですのでご注意ください。
2019年確定申告及び2020年の納税についての特別措置
チェコ財務省は、雇用者や自営業者、フリーランス等を含む個人による確定申告の締め切りを3月31日から7月1日まで延期すると発表しました。
他にも6月の個人および企業の予納については免除、またコロナウイルスに関連する理由(会計士の感染・自宅待機など)で起きた税金納付に関する罰金などもすべて免除されることになります。
個人事業主の確定申告以外でも、各種税金手続きの締め切り延長や支払い免除など様々な措置が取られているようです。
実際の措置の具体的な内容は、以下の財務省ページ(チェコ語)をご確認ください。
確定申告締め切りの延期に伴い、公的健康保険および社会保障事務所への申告についても8月3日まで締め切りが延長されています。
また、個人事業主については各種保険料が免除となっています。
この免除については別記事でまとめていますので、そちらもご確認ください。
最新の公式情報はこちらをご確認ください
チェコ政府サイト チェコ語:https://www.vlada.cz/ 英語:https://www.vlada.cz/en/
※英語版政府サイトが更新されるまでにはかなりのタイムラグがあるため、チェコ語サイトをGoogle翻訳を通して見る事をおすすめします。
チェコ外務省サイト(英):https://www.mzv.cz/jnp/en/issues_and_press/press_releases/x2020_03_07_questions_and_answers_in_relation_to_the.html
チェコ内務省サイト(英):https://www.mvcr.cz/mvcren/article/immigration.aspx
在日チェコ大使館による非常事態宣言の告知:https://www.mzv.cz/tokyo/ja/x2005_07_07_5/x2020_3_12_198.html
チェコ厚生省サイトのコロナウイルス情報サイト(チェコ):https://onemocneni-aktualne.mzcr.cz/covid-19
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